神戸市消防局 非公式ファンサイト

サイト内検索

      TOP特集バックナンバー>支援車T型 センター88


平成25年3月、神戸市消防局に対し、総務省消防庁から支援車T型が無償貸与された。
これは平成22年10月〜23年3月までの間、47都道府県に1台ずつ支援車を配備した国の事業の第二弾にあたる。
前回の兵庫県貸与分はお隣の明石市に配備され、東日本大震災でも大いに活躍した実績を持つ。
今回の貸与では神戸市消防局が神消26(指揮救援車)の更新車両としての導入を希望し、同市への貸与が決定した。

この車両はセンター88として神戸市民防災総合センターに配備され、特別消防隊(消防音楽隊)が運用する。
車内にはキッチンやシャワー、トイレ、テレビ、エアコン、ベッド等が完備され、
車両右側が拡張する機能により会議室や仮眠場所として活用することが出来る。
また車両後方部分は荷室スペース兼仮眠室となっており、支援資機材入りカーゴコンテナ6台を積載可能。
防災センターには他にも燃料補給車や輸送車、人員搬送車などの後方支援系車両が重点配備されており、
支援車T型の配備により神戸市の災害対応・支援能力は格段に向上したといえる。
特集の第一回目である今回は、この支援車T型を詳しく紹介する。



【車両概要】
シャーシ:ISUZU GIGA 艤装:トノックス
全長:10.98m ホイールベース: 6.51m
全高:3.56m 車両総重量:19.990kg
全幅:2.5m 総排気量:9.830cc
  燃料タンク:300L
乗車定員:10名(補助席使用時26名)





〜外観〜


(上)左側面からみた様子。
   全長約11mという長さが良く分かる。

(左)左前方から。
   フロントと側面には車体番号が書かれ、
   キャブ後方には昇降用扉がある。
   赤色灯はパトライト製。





(右)右後方から。
   側面後方には兵庫県隊である事を表す
   「兵庫県」の文字と、神戸市消防局の
   文字が入れられている。
   また後面にはパワーゲートが設置され、
   資機材の積載に使用する。

(下)後面上部にはサーチライトと
   スピーカーが設置され、補助警光灯の
   下には白色の作業灯も設置されている。
   観音扉には車体番号と、貸与元である
   総務省消防庁の文字が入る。





(左)車体拡張後の様子。
   全幅のおおよそ半分程のスペースが
   車両右側に広がる。
   この際、転倒防止のため車体下部から
   ジャッキを張り出す。

(下)後方から見た様子。
   張り出した部分に縦長の開口部があるが、
   これは非拡張状態の時に生活スペースから
   後方の荷室スペースへ移るための扉で、
   車外からの乗降を想定したものではない。







〜キャブ内〜



(左)隊長席からキャブ内を見る。
   中央ボックスにはサイレンアンプ
   (パトライト製)やアナログ無線機
   (富士通製)等を設置。その上には
   仮置き状態のデジタル無線機(OKI製)
   が見える。

(下)運転席上部のオーバーヘッドパネルには
   車両の各種ギミック、開口部の作動状況を
   示す表示版が設置されている。
   赤色はその部分が作動中である事を示す。



(左)変速は7速MT。
   左上に見えるピンク色のものは車両誘導用トランシーバー。
   あまりにも長い車長により声や笛での誘導ではうまく聞こえず、
   独自に特定小電力トランシーバーを活用している。







〜生活スペース〜

(左)運転席から後ろ(生活スペース側)を
   振り返った様子。
   窓のついた赤い壁は、車体を拡張した際に 
   外壁となる部分。今は非拡張状態のため
   車内に収められている。
(下)非拡張状態の車内。
   昇降扉入ってすぐのソファー部分。
   取り外し可能なテーブルが設置され、
   全て倒せばベッドにもなる。(2枚目)
   フルフラットで4人は寝られるという。





(右)車両左側昇降用扉。
   180°開いて固定することが出来る。
   昇降時には車体下部からステップが
   張り出し、車内へのアクセスも容易。
   扉部分は扉と網戸の二重になっており、
   夏場などは網戸だけ閉めておくことが
   可能な優れもの。







(左)拡張後の車内(生活スペース)を、
   後方から前方に向かって見た様子。
   大人が立って歩ける十分な天井高と、
   段差のない広々とした空間が広がる。
   写真中央に見える窓のある壁が、
   先ほどの運転席から振り返った写真に
   あった赤い壁の部分。
(左)ソファー部分の全景。
   上部には棚が備え付けられている。

(右)しかしこの棚、開くと天井と干渉して
   これ以上開かず、固定する事は愚か、
   手で押さえていないと閉まってしまう。
   この辺りは設計ミス・・・だろうか。








(左)前方向かって右(ソファー側)から
   向かって左(昇降口側)を見た様子。
   右上にエアコン、中央にキッチン、
   電子レンジ、換気扇、冷蔵庫、テレビ、
   左側にはシャワー&トイレが見える。
   ちなみに冷蔵庫は常時ONではなく、
   ON・OFF切り替え式。
   画像右下に小さく見える、壁に取り付け
   られた白い縦長の箱はガス漏れ警報器。


(左)ガスコンロは車載のプロパンボンベ、
   水は500Lの清水タンクから供給され、
   給湯器もあるためお湯も出せる。
   他にも550Lの汚水タンクを搭載する。

(右)冷蔵庫上のエアコン吹き出し口。
   空調は2系統が用意され、上部の網目状の
   部分からは空調用発電機からの風が。
   その直下の黒い部分からは、この車両自体
   のエアコンからの風が出せる。


(左)シンクの上には炊飯器の収納場所がある。
   しかしこの扉、例によって例のごとく、
   写真の位置までしか開かず固定も不可能。
   もちろんこの位置では使えないため、
   使用する際は取り出して使う。
   ツッコミどころ満載と言ったところだ。


(右)シンクの右側、昇降口から入ってくる
   際の右手側に、電灯や昇降用ステップ
   のスイッチがある。


(左)昇降口右側にはプロパンガスボンベの
   積載場所がある。

(右)同様に車両左側面に清水タンクへの
   給水口がある。





(右)エアコンの隣に設置されている配電盤。
   この車には
   1.インバーター
   2.太陽光発電
   3.ディーゼル発動発電機(機器・空調)
   の3系統の発電装置が有り、それぞれ
   切り替えることができる。
   発動発電機の燃料は車両の燃料タンク
   (容量300L)と共用であり、いちいち
   切り替える作業も必要ない。
   また発動発電機は機器用と空調用があり、
   片方が壊れた場合でももう片方で機器・
   空調共に賄える様になっている。
   左上にあるメーターは、給水タンクと
   排水タンクの水量計。   




(左)エアコンの直上、荷室、及びシャワー室の
   天井には、明かり採り窓を兼ねた換気扇が
   設置されている

(右)吸気・排気共に可能な電動開閉式で、
   使用時は蓋を開いて使う。
   また虫が入らない様に網戸も付いている。

(右)後輪の後ろ側、写真中央には、
   緑色のディーゼル発動発電機を積載。
   車両左側が機器用、右側が空調用。




(左)シャワー室を入口から左に見る。
   折りたたみ式の洗面台と鏡、
   シャワーが見える。
   この足元には車のエンジンが
   止まっていても使用できる
   FFヒーターの温風吹き出し口があり
   扉を閉めればここを乾燥室として
   使用することもできる。
(左)同じく入口から右に見る。
   銀色の箱がトイレで、排泄物はこの
   中でラップ様のシートに包まれて
   圧着され、それを横の青いゴミ箱に
   捨てる形をとる。
   シャワー使用時には外へ出すが、
   発電機等で100V電源を確保すれば
   屋外でもトイレが使用できる。







〜荷室〜



(左)生活スペースの後ろ、荷室スペースを
   車両後方観音扉を開けて後ろから見る。
   ここにはカーゴコンテナを6台積載でき、
   コンテナを降ろして写真のようにベンチ
   シートを倒せば、補助席として16名が
   座ることができる。もちろんシートベルト
   もついているので道交法上も問題ない。
(左)ただしベンチシートは若干幅が広いため
   座る分には少し座りづらい。
   また窓も無いため、まるで護送車にでも
   乗っているかの様な雰囲気を味わえる。

(右)しかしそれはここを仮眠室として使う事が
   出来るためであり、一部二段ベッドと
   なっている部分を合わせて6人が寝られる。

(左)2段ベッドを展開した状態。

(右)2段ベッド収納した状態。







〜拡張操作〜



(左)車体右側側面にある、
   車体拡張操作を行うため
   のコントロールパネル。
   画面のある四角い箱が
   タッチパネル式操作盤で
   取り外しての使用が可能。
   左下に見える白い物は、
   タッチパネル故障時等に
   使用する非常用のもの。


(上)タッチパネル式操作盤。
   安全確保のため、拡張・格納作業中は画面上に
   車内の映像が映るようになっている。
(左)車内配電盤上に設置された小型カメラ。
   ここからの映像をタッチパネル端末から
   確認することができる。(赤い丸の部分)

(左)非常用のコントローラー。
   タッチパネルは暗証番号が必要だが、こちらは「開」「止」「閉」のみ。







〜ルーフ〜

(左)車両左側面、後輪の上には、ルーフへ
   上がるための梯子が取り付けられている。

(右)ルーフ上、車両後方から前方を見た様子。
   手前の縞板部分が、指揮・荷物積載場所。
   ちょうど中央に見える黒い小さな四角は
   荷室の換気扇。
   その上にある大きな黒い四角がソーラー
   パネルで、太陽光発電が可能。
   ソーラーパネルの左にある黒い丸は
   シャワー室の換気扇。
   さらにその上には「セ88」と
   「兵庫県」の対空表示が書かれている。
   奥にはこの車が収まる車庫が見える。



(左)車両後方側を見る。
   ルーフ上最後尾には、折りたたみ式の指揮台が
   設置されている。若干グラつくが実用上問題ない。
   ただそれよりも地上高3.5mで立ち上がる方が怖い。
   実際こんな高いところで指揮活動が出来るかは疑問である。







〜支援資機材〜




(左)この支援車T型に搭載されている、
   カーゴコンテナ6台分の後方支援資機材。
   黄色い物は寝袋、丸い口の付いた箱は
   暖房機、赤い取っ手の付いた白い袋は
   テント。他にもテーブルやトイレの袋
   など大量の資機材が用意されている。

(左)パワーゲートにより一度に2台の
   カーゴコンテナを昇降可能。

(右)先程まで仮眠室だった荷室に、6台の
   カーゴコンテナを積み込む。
   隊員さんの身長やカゴ車の高さから
   天井高がお分かり頂けるだろう。










〜後方支援系車両〜

(上)特集の最後を飾るのは、防災センター配備の後方支援系車両群。
   左からセンター88(支援車)、神消89(輸送車)、神消99(人員搬送車)、
   神消83(燃料補給車)







最後に、この度の支援車取材を快く引き受けて下さり、詳しくご案内して頂きました
特別消防隊U様をはじめ、神戸市民防災総合センターの皆様に心より御礼申し上げます。





            




当HPに掲載されている全ての画像・動画の著作権は、原則として管理人(神消北33)に帰属します。
なお、ご提供画像の著作権に関しましては、各画像提供者様に帰属致します。
当HPの全部、又は一部について、私的利用、引用などの著作権法上認められている適切な方法で利用する場合を除き、
管理人(神消北33)に
無断で複製・転載・編集することは一切禁止します。