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No.2 通報から出動までの流れはどんな感じ?〜救急編〜



No.1に引き続き、No2は救急事案編です。
今回も、神戸市内から119番通報をかけた場合の流れについて詳しく説明していきます。

ここで出てくる住所や通報内容、災害状況などは全てフィクションですので、実際にあったものではありません。
また、消防無線を傍受して得た内容ではなく、各種状況などは職員の方から直接伺ったものです。




〜 救急事案 〜


救急事案の場合も火災事案と同様に、通報を受信した管制係員はまず火事か救急かを尋ねます。

「プルルルル・・・」
管制係員 「はい、119番、神戸市消防局です。火事ですか?救急ですか?」
通報者 「救急です!」
管制係員 「はい、場所はどこですか?」
通報者 「北区○○町1丁目、1−9です!」

これも同様に、まずは住所を聞きます。続いて「誰が」「どうした」のかを聞きます。
管制係員はここで、出来るだけ早く、そして出来るだけ多くの情報を拾い上げていきます。
同時にコンピューターに救急事案である事や住所などを入力していきます。

管制係員 「わかりました、誰がどうされましたか?」
通報者 「おじいちゃんが階段から転んで頭を打ったみたいで、意識が無いんです!」
管制係員 「わかりました、おじいさんは息はしていますか?」
通報者 「えっと・・・待って下さい。・・・はい、息はしてるみたいです。とにかく早く来て下さい!」

この会話で、傷病者は「高齢男性」「階段から転落」「意識無し」「呼吸あり」と言う事がわかりました。
実際はこの通報者の様に的確に通報できる人は少なく、パニックになっている事がほとんどです。
そして今回は年齢を聞いていませんが、ほとんどの場合は管制係員から年齢を聞き出します。
通報によるとこのおじいさんは階段から転倒したと言う事ですから、どこかケガをしているかもしれません。
大量に出血している場合や、いびき様の呼吸をしている場合などは大変危険です。

管制係員 「息はあるんですね?どこか怪我はされてませんか?」
通報者 「えーっと・・・頭の後ろを打ったみたいで、そこから少し血が出てます。」

大量出血ではないものの、頭蓋内出血の可能性もあります。頭を打っているので、最悪の場合は命に関わります。
しかしそういう時こそ、管制係員は常に冷静に、落ち着いた口調で話します。

管制係員 「わかりました、すぐに救急車が向かいます。あなたの名前と電話番号を教えて下さい。」
通報者 「はい、○○です。090-****-****です。」
管制係員 「○○さんですね、お孫さんですか?」
通報者 「はい、そうです。」
管制係員 「わかりました、あとでこちらからかけ直す事がありますので、絶対に電源を切らないで下さいね。」
通報者 「わかりました。」

携帯からの通報でしたので、
絶対に電源を切らないように指導したあと、通報者との通話を切断しました。
この時点で、指令台の画面上には既に直近の救急隊がリストアップされており、あとは出動指令を流すのみです。
救急指令は
出動する救急隊の居る署所にのみ有線で流され、コンピューターの合成音声によって行われます。


「ピーポーピーポーピーポー」
「○○救急隊、救急 指令!北管内・・・」
署内に救急指令が響き渡ります。


神戸市の場合、救急に予告指令は無いため、消防署には
いきなり救急指令が流れる事になります。
事務仕事をしていても、食事をしていても、仮眠をしていても、救急隊員はこの指令音が流れればすぐに飛び出します。
隊長、機関員、隊員の3名で構成される救急隊は、事務所に残る消防隊を横目に車庫へとダッシュしていきます。
靴を履き替え、救急服の上から水色の
感染防止衣を着用、指令から1分ほどで3名全員が救急車に乗車しました。
しかし、乗ってすぐに発車と言う事はあまりなく、車庫を出る前に、隊長と機関員で指令場所を地図で入念に確認。
間違えない様にはもちろんの事、現場までの道は救急車が通れるだけの幅があるのかなど、事前に確認しておきます。



 もちろん、のんびりしている訳ではありません。
 確認も出来るだけ早く済ませ、準備が整った所でヘッドライトと
赤灯ON、
 サイレンを鳴らして出動していきます。
 隊長はAVM端末の「出動」ボタンを押下し、本部に出動したことを伝えます。



機関員は、はやる気持ちを抑え、
慎重に、かつ出来るだけ早く傷病者の元へと救急車を走らせます。
現場へと緊急走行を始め、ほどなくして本部から救急無線で呼び出されました。先程通報を受けた管制係員から
通報状況や傷病者の状態について詳しい情報がもたらされ、隊長はそれを聞いて活動方針を決定、全員に伝えます。
緊急走行中は機関員と隊長で周囲の安全確認に努め、患者室の隊員席に座る隊員は資器材の用意を済ませます。
ほどなく現場に到着。サイレンを止め、隊長はAVM端末の「現着」ボタンを押下、
到着したことを伝えます。


救急車を止めると、隊長は隊長バックと呼ばれるカバンを持っていち早く患者の元へ。
残った隊員と機関員が、救急車から降ろしたストレッチャーを押して後に続きます。
その後現場で出来る最低限の処置を行い、ストレッチャーに乗せて救急車内へと収容。
救急救命士資格を持つ隊員(隊長ともう一人の計2人)を中心に活動が続けられます。


同時に(主に機関員が)病院の検索と電話による交渉を行います。
が、どこの病院もなかなか受け入れてくれません。
「ベット満床の為・・・」「医師不在のため・・・」「手術中の為・・・」いわゆるたらい回しですね。
病院交渉を始めて15分ほど、ようやく搬送先病院が決定しました。
傷病者のご家族にも同乗してもらい、救急車は病院へと向かいます。



以上が救急事案の通報から出動までの大まかな流れです。
こちらも火災事案同様、これが全てと言う訳ではありませんが、だいたいがこの様な感じです。
また、心肺停止状態にある傷病者の場合は3人編成の救急隊だけでは手一杯になるので、
特定救急 と言う形で消防隊も同時に1隊出動します。
この時消防隊は救急隊に変わって心臓マッサージを行ったり、救急隊の支援にあたります。
(他本部ではPA連携と言われるもので、神戸が日本で最初に始めたそうです。)

他にも、傷病者が大柄な場合や、救急車までの距離がある場合、マンションなどでエレベーターが無い場合など、
救急隊3名では搬送が困難な場合にも、
支援救急 として消防隊が1隊出動し、搬送支援に当たります。
もし救急車を呼んだのになぜか先に消防車が来たという場合、そういった理由があるんですね。





以上、「通報から出動までの流れはどんな感じ? 〜救急編〜」でした。




            








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